先日、「遺留分を侵害する内容の遺言書作成」について相談を受けました。
「遺留分」といっても、あまり馴染みのない法律用語なので、知らない方も多いかもしれません。
簡単に言えば、「遺留分」とは、兄弟姉妹を除く法定相続人に法律上保障されている、最低限の相続分のことです。
遺言書を作成するときや、相続が発生した後の財産分けを考える際にも、たびたび登場する重要な制度です。
今回の相談内容は、
「自分と長年連れ添った妻に、すべての財産を残したい。トラブルにならない遺言書を作成したい」というものでした。
よくよくお話を伺うと、相談者には離婚歴があり、現在の妻との間には子どもはいません。一方で、前妻との間には子どもがいるものの、30年以上にわたって交流が途絶えているとのことでした。
そこで、遺言書の作成を支援するにあたり、まずは「遺留分」について理解していただく必要があると考え、次のように説明しました。
「現在の妻と、前妻との間のお子さんが法定相続人になります。妻に全財産を残す遺言を作成した場合、お子さんの法定相続分は2分の1です。その2分の1が遺留分の基礎となるため、お子さんの遺留分は、全財産の4分の1になります。」
「遺留分を侵害する内容の遺言書を作成しても、そのことだけで遺言書が無効になるわけではありません。ただし、遺留分を侵害されたお子さんには、遺留分侵害額を請求する権利が法律上認められています。したがって、『トラブルにならない遺言書』を作成することは難しいでしょう」
と、正直にお伝えしました。
そのうえで、
「それでも、できるだけトラブルになりにくい遺言書を作成するためのお手伝いはできます」
と回答しました。
おかげさまで、その後、相談者には「遺留分」という制度が設けられている意味*についても理解していただき、現在は具体的な協議に進んでいます。
私は、相談者や依頼者の思いに寄り添うことをモットーにしています。
だからこそ、リスクやデメリットがある場合には、たとえ言いにくいことであっても、しっかりとお伝えすることを心に決めています。
「こんなことを相談してもいいのかな」と思うようなことでも構いません。
わからないこと、不安に思うこと、判断に迷うことがあれば、街の身近な法律家である行政書士に、ぜひ気軽にご相談ください。
*「遺留分」には、被相続人の死亡後も、一定の相続人の生活を保障するという側面があります。また、家族間の極端な不公平を抑え、相続をめぐる紛争を防止し、相続関係の安定を図るという意味もあります。
