公正証書がデジタル化されたことをご存じでしょうか。
2025年10月から新しい制度がスタートしました。時代の流れからすれば「ようやく」という印象もありますが、面談のオンライン化にまで踏み込んだ制度であり、実務上は非常に画期的な改正といえます。
手続きのオンライン化に伴い、これまで公証人が手書きで作成していた公正証書は、パソコンによる作成へと切り替わりました。さらに、公証人と嘱託人がウェブ会議システムを利用して面談を行う「ウェブ面談」が導入されています。
もっとも、ウェブ面談は誰でも利用できるわけではありません。「嘱託人からウェブ面談による公正証書作成の申出があり、かつ、その申出を相当と認めるとき」に限って実施されることとされています。公証人の方から伺ったところでは、この「相当性」は、必要性と許容性の両面から判断されるとのことです。
特に公正証書遺言では、面談当日における遺言者の本人確認や意思確認が、公正証書の法的な有効性を左右する極めて重要な要素となります。そのため、ウェブ面談を認めるかどうかの判断は、かなり慎重に行われるものと思われます。
例えば、将来的な紛争が生じる可能性が高い案件や、遺言能力の有無が争点となるおそれのあるケースについては、「相当性」が認められないと判断されることもあるようです。そのため、高齢者による公正証書遺言については、個々の事情にもよりますが、ウェブ面談ではなく、従来どおり対面での面談が求められる場面が少なくないようです。
