戸籍謄本等は、個人情報やプライバシー保護の観点から、取得できる人が法律で限定されています。
もっとも、行政書士などの士業者については、職務の円滑な遂行に資することを目的として、「職務上の請求」に限り、例外的に他人の戸籍謄本等を取得することが認められています。そのため、行政書士が「職務上請求書」を使用できる場面は、行政書士法などの関係法令に基づき厳格に運用されています。
実際に受任した相続手続きでも、被相続人の戸籍謄本等が、遺産分割協議書の作成用と金融機関への提出用として、それぞれ1通ずつ必要になりました。しかし、「職務上請求書」を利用できるのは、遺産分割協議書の作成という行政書士の業務に必要なものに限られます。一方、金融機関への提出用は、書類作成を伴わない手続きに使用するため、「職務上請求書」を利用することはできません。
そのため、必要な戸籍謄本等を一度に取得できない不便さはありましたが、法令やルールを遵守し、金融機関提出用については、戸籍謄本等の取得を目的とした委任状を依頼者からいただいたうえで、別途取得手続きを行いました。
行政書士には、依頼者の利便性だけでなく、制度の適正な運用を守る責任もあります。多少手間が増える場面であっても、法令に則った手続きを徹底することが、依頼者の信頼につながるものと考えています。
